| 熨斗紙にお書き致しました文字につきまして、メールをいただきました。
「木偏 はハネないものだが、送って貰った画像はハネているので、書き直して欲しい」
という趣旨のものでした。
熨斗紙の画像はこちらです。

学校の国語の教師の中には「木偏はハネてはいけない」と教える方がいるようですね。
現在一般的に使われている「明朝体」の活字の木偏はハネていません。
だから「ハネてはいけない」というのです。
ですが、まず基本的に「活字体」と「書写体」とは別のものだと国語の先生が知らないのですね。
漢字の活字は中国宋代に完成しました、「宋朝体」を嚆矢とします。
「宋朝体」のもとになったのは、初唐の書家で楷書を極限まで磨き上げた「欧陽詢」と
中唐の書家「顔真卿」の書です。
顔真卿は「横画」を細く、「縦画」を太く書き、楷書に規則性をもたせました。
「宋朝体」では、木偏はハネています。
明時代に作られた「明朝体」では、本来右上がりの「横画」を水平にして、
なんとも平板で味気ない活字になりました。
「宋朝体」はいきいきしていますが、「明朝体」はひたすら整然としているのみ。
しかし当時の「明朝活字」の木偏はハネています。
金属活字ができあがると、「書写体」と「活字体」の乖離は甚だしくなってしまいました。
さらに現代のパソコンでは「MS明朝体」などが主流になって、
これが正しい文字だと認識されていますが、
書家の端くれといたしましては、はなはだ憂慮すべき事態、
本当に困った現象なのです。
2011年7月9日記 |