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楽天10周年の軌跡 −開発ヒストリー−
開発ヒストリー > 第1回 「楽天市場」誕生秘話
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Vol.1
楽天市場へのモール出店店舗が爆発的に増加したのは、ネットショップ構築システム「RMS(Rakuten Merchant Server)」の力が甚大だ。楽天株式会社(以下・楽天)の原点となった「RMS」の誕生秘話とその後の成長を追ってみた。
楽天創業時の主要メンバー。創業当時の「日本をエンパワーメントする」というコンセプトは揺るがない
楽天創業時の主要メンバー。創業当時の「日本をエンパワーメントする」というコンセプトは揺るがない
“5万円ポッキリ”で開店できる、ネットモールをつくろう

「杉原さん、ちょっとちょっと」
1997年、まだ正月の名残をとどめた駅から急ぎ足で歩いてきた杉原章郎(現・楽天取締役常務執行役員開発編成統括本部長)は、出社するなり、パソコン前に張り付いていた当時のメンバー、本城愼之介、増田和悦らに呼び止められた。「これ、どうですか?」と画面を見せられる。カタカタとキーボードを鳴らし、ぽん、とエンターキーを押すと、入力した文言が反映されたネットショップのページが完成する。杉原は一瞬、声を失った。「すごい!こういうのがやりたかったんだよね!」

楽天に出店する店舗は、ショップ画面の制作、商品ページの更新、受注管理や顧客管理などの店舗運営を「RMS(Rakuten Merchant Server)」という独自開発のシステムを使って行っている。パソコンの基礎知識があり、電子メールやデジカメが使える人なら明日からでもネットショップの運営ができるこのシステムは、当時のネットモールの常識を覆し、業界を大きくけん引した立役者である。杉原が見たのは、このRMSのうちの店舗ページ構築機能「R-Storefront」のプロトタイプだった。

当時の楽天は、まだ事業内容も、会社の設立も確定していない状態。少なくとも100案はあった“三木谷メモ”の一案だったネットモールが、最有力の選択肢として挙がっていた。しかし、そのころのネットモール事業は、大手のIT企業や商社が多大な資金を投じて運営に乗り出したものの、軌道に乗ったものは少なく、ブームが到来したとは言いがたい状態が続いていた。

「インターネットモールなんてどこもかしこも大赤字だし、出店するのに数十万円、ページを更新するたびに数万円と、今では信じられない運営費がかかっていて、ビジネスとしてぜんぜんイケてなかったんです(笑)。普及するにはこんな金額じゃ無理。『月々5万円ポッキリ』と設定して、具体的な戦略を立てていった。で、『コスト削減と店舗の自由度を両立するには、ワープロレベルの知識と作業で、誰でもページがつくれるシステムが必要』という結論になったんです。ほかの大型ネットモールとは着眼点がまったく別だったんですよね」(杉原)

楽天初期に出店社向けに配布していたパンフレット。RMSの画期的なメリットが説明されている
楽天初期に出店社向けに配布していたパンフレット。RMSの画期的なメリットが説明されている
小さな会議室で、楽天の開発史が始まった

「誰でも使えるネットショップ構築・運営ツールをつくろう。」三木谷が決定した、無謀かつ壮大なプロジェクトを任されたのは本城愼之介。本城が実はプログラムを組んだことすらなかったということは有名な話である。『初めてのSQL』という本1冊とプログラムの家庭教師1人を与えられ、内心「無理だ」と思いながらもシステム開発をスタートさせた。そこへ理系参考書出版社に勤務していた増田和悦と、安武弘晃(現・取締役常務執行役員)と畑農智実が加わり、プロジェクトが加速する。当時、大学院生でアルバイトだった安武はこう振り返る。

「大きめの机の上に小さなサーバがドンと1台置いてあるだけの会議室が"開発室"。全てがそこでスタートしました。システム構築自体も紆余曲折ありましたが、その前の"どういう概念で作ったら一般の店長さんがわかりやすいか"という議論にも時間をかけました。トップページ・商品ページ、という構成で顧客はショッピングしやすいか、"カテゴリー"とカタカナにするより"分類ページ"のほうがなじみやすいのでは、など、一つひとつ真剣に議論していました」
「ただ」と安武は言う。「当時と変わっていないことは、"店舗さん自身に一連の作業を行っていただく"ということ。出店料を5万円に抑えることも重要でしたが、ネットショップは店舗さんのもの、更新頻度も更新内容も運営戦略も、店舗さんに自由に自走していただきたい、というのが目的でした」

リリースされたRMS1.0が楽天を誕生させたといっても過言ではない。「朝、築地でマグロを仕入れ、開店時間にはページができて、昼には売れて、夕方には出荷している。このシステムならそれが実現する。もうこれは俺たちがやんなきゃ誰がやるの、と。RMSが完成していなかったら、こんなエキサイティングな10年にはならなかったんじゃないかな」(杉原)

1997年5月の楽天市場開店まであと数ヶ月。オープンまでの数ヶ月で、受注管理機能「R-Backoffice」が。楽天市場始動後の1997年8月には、時間帯別アクセス数など購買層の行動を分析できる販促戦略ツール「R-Transact」がリリースされた。顧客とのコミュニケーション手段であるメール活用機能「R-Mail Plus」が完成し、現在も楽天出店店舗を支え続ける4機能が出揃ったのは1997年12月。創業初年度は怒涛のように過ぎ、楽天創業メンバーは二度目の正月を迎えようとしていた。
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第4回 ポータルサイト「インフォシーク」との統合
第3回 1700万点から商品を探す「検索システム」の開発
第2回 「楽天会員ID」と「楽天スーパーポイント」のシステム開発
第1回 ネットモールの常識を変えた「楽天市場」誕生秘話
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