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楽天10周年の軌跡 −開発ヒストリー−
開発ヒストリー一覧 > 第3回 1700万点から商品を探す「検索システム」の開発
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Vol.3
「1秒以内のレスポンス」は譲れない絶対条件

2002年初頭、ネットモールに新たな可能性を見出した流通業界が、IT化へ大きく変換を始めた頃。ネット流通のリーディングカンパニーとして頭角を現してきた楽天は、毎年200%の成長を見せていた。当然、楽天への出店店舗も急増し、5000店舗を突破。扱う商品数も倍々で増えていた。が、当時の検索システムは、初代RMS(Rakuten Merchant Server)を構築したときにつくったシステムのままだった、と、楽天のショッピングナビゲーション機能の基礎をつくり上げた吉永博英(開発・編成統括本部)は語る。

楽天市場オープン当時のトップ画面。検索するまでもない店舗数と商品数だった。
楽天市場オープン当時のトップ画面。
検索するまでもない店舗数と商品数だった。
商品の多さがネットモールの最大の魅力だった時代から、欲しい商品までいかに早くたどり着けるかへ。ユーザーがネットモールに求めるものをいち早く察知し、検索システムの改善に乗り出した楽天。入社直後の吉永が、検索システムリニューアルの陣頭指揮を執ることになった。吉永が目指したのは「商品が2000万点を超えても、1秒以内に検索結果を返せるシステムにしよう」という、当時のレスポンスから考えると、無謀にも近い遠大な命題だった。

「既存のシステムを運用し、その既存システムのバージョンアップを行いながら、なおかつまったく新しい検索システムの構築も進める必要がありました。3つのプロジェクトが同時進行し、めちゃめちゃ大変でしたが、それがまた楽しいところでもありました(笑)」

昼間は今のシステムのてこ入れと運用に費やし、リニューアルに関するアイデアを練るのは夜になってから。吉永の長く、楽しい、二重生活が始まった。

まず彼が着手したのは「今のシステムのまま突っ走ればどうなるか」のシミュレーション。何万点もの商品を短時間で検索可能にするためにはかなりの資金投入が必要だ。投資するだけの価値があるシステムだと周囲を納得させられなければ取り掛かれない。今後の商品数増加とアクセス数増加のスピードを予測し、それを検索できるシステムの未来予想図を描いてみたところ――。

「2年後には今の10倍くらいのシステムが必要になるという計算が出ました(笑)。仮にそれだけの投資を行ったとしても、今後の成長を支えきることは不可能。根本的にサーチの構造や仕組みを変えなければ、“2000万点でも1秒以内”なんて無理」

進むべき方向が決まったら、次はサーチエンジン探しが始まる。大規模なサーチエンジンを総当りし、毎日のように検討が続いた。が、なかなか理想どおりのタフさを持つサーチエンジンは見つからない。

「描いた理想はやはり高かった。2000万点でも1秒、というのは譲れないんだけれど、もっと大きかった壁は実はソート。ショッピングモールのサーチって、単に商品を探すだけじゃダメで、それを価格・新着順・画像の有無など、消費者の購買行動を元に並べ替えするというパフォーマンスが求められるんです。この2つを実現できるサーチエンジンはなかなか見つかりませんでした」

現在、楽天のサーチエンジンシステムを提供しているファストサーチ & トランスファASA(本社:ノルウェー・オスロ)との提携が決まったのは2003年6月。ようやく開発が第1フェーズに踏み込めたのは、プロジェクト始動から約1年後のことだった。
会議室に「住んだ」日々 会議室の床で迎えた感動の瞬間

店舗数の増加につれて商品数も右肩上がりに増加。現在では1700万点もの商品が購入できる。
店舗数の増加につれて商品数も右肩上がりに増加。
現在では1700万点もの商品が購入できる。
文化も、ビジネス習慣も異なる外国人エンジニアを含むプロジェクトチームと会議室にこもり、自分たちが描いているシステム理想図へのアプローチを何度も何度も議論しあった。仕上がってきたシステムを検証し、更なる改善案を出す。チームが望む着地地点へ、一つひとつ確かめ合いながらじりじりと歩を進めあう。検証に次ぐ検証で、徐々にだがシステムの大枠が組みあがってきたのは2003年秋。2003年11月のリリースに向け、開発も大詰めを迎える。一週間のうち帰宅できるのは数日だったが、リニューアル一週間前にもなると、会議室は吉永の寝所と化した。

何か混乱があった場合、すぐさま元のシステムに戻せるよう万端の準備を整えたリリース日の午前4時。まだ暗い会議室でひっそりとリリースは行われた。何事もなく9時を過ぎ、三々五々、出社してきた社員たちが「おぉー!」と感嘆する中、ファストサーチ&トランスファからは「祝・リリース」の花束が届いた。三木谷からも「早い!!」という感激メールが届いていたが、当の吉永がこのうれしい騒動を知るのは数時間後のことになる。その頃、張り詰めていた緊張が一気に解けた吉永は、会議室の床に転がって久方ぶりの安眠をむさぼっていたからだ。
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第6回 即断即決のトレードを支援するシステム「マーケットスピード」の開発
第5回 ネット宿泊予約日本No.1!「楽天トラベル」のシステム
第4回 ポータルサイト「インフォシーク」との統合
第3回 1700万点から商品を探す「検索システム」の開発
第2回 「楽天会員ID」と「楽天スーパーポイント」のシステム開発
第1回 ネットモールの常識を変えた「楽天市場」誕生秘話
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