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> 第7回 楽天2.0を加速する「API」「CGM」
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一般人が綴ったブログや掲示板から、書籍・映画・ドラマ化されることも珍しくない昨今。「2006年3月末、日本でのブログ利用者数は2,539万人に達する」という総務省の発表もあり、日本は空前のブログブームを迎えている。サイバーエージェントとミクシィが発表した「CGM(Consumer Generated Media)と購買活動に関する調査結果」によると、CGM利用者の5割以上が口コミを参考に購買を検討、自身のブログやmixiで、商品を勧めた経験があるユーザーは66.8%にもなる。
単なる日常や感情を表現する場としてだけではなく、社会や産業にも大きな影響力を持ち始めているこれらの消費者参加型の新メディア「CGM」。あまり知られていないことだが、楽天はブログブームの前からCGM実用化に取り組み、大きな成果を上げてきた。
その初例が、2001年サービススタートの
「楽天広場」(現・楽天ブログ)
である。
現在のブログやコミュニティサービスの標準装備となっている、「訪問履歴(足跡機能)」や「自動相互リンク」も2001年のリリース当初から実装するなど、非常に早くから人と人とが繋がる仕組みを構築してきた「楽天広場」。立ち上げたのは、学生の就職活動コミュニティ
「みんなの就職」
を立ち上げた伊藤将雄(現・楽天グループ みんなの就職)と田中良和(当時・楽天社員/現・グリー株式会社代表取締役社長)の2人である。現在は楽天ブログと名前を変えているこのサービスは、
プロジェクト発足当初は、楽天内でも注目も期待も集めていない「日陰の身」(伊藤談)からのスタートだった。
「ダメなら辞める覚悟でした」と伊藤は笑う。「みんなの就職」を学生時代から立ち上げていた伊藤は、コミュニティの持つ面白さ、一般ユーザーの持つ情報力を体感してきた。ユーザー同士の情報交換の場はまだ楽天にはなかった。
「これからの楽天には、コミュニティが必要だ」と、意気投合した伊藤と田中は、楽天としては初のコミュニティサイト構築に乗り出した。2001年初旬である。
「見切り発車でした」と伊藤。「企画を経営陣に打診したときはEC企業としての本格展開の真っ只中。コミュニティ自体は利益を生まないサービスだけに、役員の賛同は得られませんでした。
しかし今後の楽天に必ず必要になると確信していた僕達は、本業のかたわらシステムを作り始めてしまったんです(笑)。うまくいかなかったら辞める覚悟でした
」
「楽天広場」の画面。当時としては画期的な「訪問履歴」「更新通知サービス」なども標準装備され、口コミでユーザーが広がっていった。
賛同してくれた当時の執行役員、吉田敬と3人で仕様を詰めた。開発に乗り出した当初は、田中はほとんどプログラムを書いたことがなく、伊藤自身も、大規模サービスをビジネス展開するのは初めて。必要な知識や技術は自己流で補い、本業のかたわらひっそりとシステムの構築が進んでいった。熱意に押されて正式に部署設立の許可が下りたのは2001年3月。その頃にはほぼ、実用ベースのシステムが完成していた。
「作っちゃったからリリースさせて、と押し切ったような形(笑)。だから最初は安価な小さなサーバでのスタートだったんです」
予算はほとんどなかったが、将来ブレイクすると信じて疑わなかった2人は、何十万人もの会員を想定し、マスターDBに負荷をかけない仕組みづくりに知恵を絞った。
2000年5月にはテストを終え、イントラネット上に社員向けの「楽天広場」がひっそりとオープン。
まったく話題にならないリリースではあったが、新しいもの好きのエンジニアや好奇心旺盛な執行役員を中心に約30人ほどが、メッセンジャーでもメールでもない、この新しい情報交換ツールを使い始めていた。
社外リリースが決まったのは2000年8月。楽天会員IDと連携し、一般ユーザー向けのサービスにむけてアプリケーションの詳細整備が進み、ハードもチェンジ。今後の負荷に備えてサーバの構成にも手を入れた。連日連夜の作業は、田中と伊藤の2人きりで行われた。「一ヶ月間くらい、毎日20時間近く会社にいましたね。あまりにも2人で顔を突き合せすぎてリリース前はお互い顔を見るだけで不機嫌になったほど(笑)」
自信と期待に満ちて行われた社外リリース。だが、半年間ほどは、まったく会員数が伸びない辛い時期が続いた。反対を押し切ってリリースしただけに肩身が狭かったが半年後になっていきなり会員数が伸び始めた。
苦戦続きの中のいきなりのブレイクの理由は「口コミ」だった。
「執行役員の一人がこのサービスを毎日のように使ってくれていたんです。その人の知人・友人のITベンチャー社長や知識人などが「楽天広場」を使い始めたのが流れを変えました。それまでの僕らは、コミュニティの価値は機能にあると思っていました。これだけ使いやすい機能がそろっているのになぜ普及しないんだと落ち込んでいたんです。しかし、
ユーザーがコミュニティを使ってくれる理由はただひとつ。“友達が使っているから”。
登録数が徐々に増え始めてから、改めてその事実に気づいたんです」
携帯やファクス、メーラーなど、コミュニケーションの要素を持つサービスは、成長の過程で必ず「S字カーブ」をたどる、と伊藤は言う。最初は数字が伸びないが、他の人が使い始めたから、という理由で一気に数字は上昇、一定数にいきわたると、トラフィック自体は伸びても利用者は一定で落ち着きを見せる。S字の最初のカーブの上昇角度を上げたのは、機能でも宣伝力でもなく、ユーザー自身だったのだ。 勢いがついた「楽天広場」は一気にブレイク。他人の日記で商品の購入を比較検討する、楽天会員の有効な情報源として、「楽天広場」は価値を持ち始めた。
2人のエンジニア兼プロデューサーが産んだサービスは、ユーザーの手によって、一大コミュニティに育ったのだ。
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