友禅の製作方法












友禅の製作方法

下絵その1

まずは下絵です。ちょっと分かりにくいですが、これは紙の上に描いた図案を見せてもらっているところです。

いきなり着物と同じ大きさの大きい紙に描くとロスが大きいのでこのように小さい紙に図案を描いています。

ちょっと見にくいですがこの写真は四枚の訪問着の図案を見せてもらっています。

下絵その2

さて、先ほどの小さいスケッチで描いた下絵ですが、次に実際の反物に描く前に反物と同じ大きさの紙にしっかりと描いていきます。

着物一枚分の下絵ができ上がったら、実際に着物として出来上がったときに変なところに変な柄が来ていないか、紙をちゃんと身体に巻いて調べます。

例えばお尻の真ん中に大きい花が来るような図案になったりしていないかとかですね。

青花で反物に下絵を描く

図案ができ上がったら先ほどの反物と同じ大きさの紙に描かれた図案を白生地の下にひいて、下から蛍光灯で照らせる特殊な机の上で白生地に図案を転写していきます。

この白生地に描く際には当然マジックや鉛筆などは使いません。青花(あおばな)と呼ばれる露草の絞り汁で図案を描いていきます。

なぜこの青花を使うのかというと、この青花は水に触れるときれいに消えてしまうという特徴があるのです。水で落ちるチャコみたいなものですね。この特徴があるために最後の友禅流しでこの青花の汁がきれいに消えるのです。

そしてその次に青花の下絵に添って糊を上に置きます。これは次の工程で色差しをするときにこの糊で地色の部分まで色がにじまないように防波堤の役目をします。この糊を「糊糸目(のりいとめ)」と呼びます。最近は糊だけではなくゴム糸目や樹脂糸目もあります。

色挿し

先ほどの青花で下絵を描いた白生地に今度は色をいれていきます。一般的な友禅染めの製作方法では地色を染める前に柄の部分に色をいれていきます(色を挿すといいます)。

写真では見えにくいですが、真ん中に穴の開いた机の下には電気コンロが置いてありまして、色を挿していきながら同時に乾かせるような工夫がなされてあります。

ちなみに加賀五彩と言いまして、加賀友禅は基本的に五つの色で構成されています。五つの色とは「燕脂(赤)」「黄土(黄色)」「藍(青)」「古代紫(紫)」「草(緑)」の五色です。

糊伏せ

次は糊伏せです。次の工程で着物全体的に色を染めるために、地色が柄の中に入り込まないように先ほど色挿しをした柄の部分に糊で防染をしていきます。

この糊は食塩ともち米を混ぜた糊を使用しています。ここでもっとも気をつけなくちゃならないのはひび割れ。ここでひび割れると次の地色の染めの段階で柄の部分にまで色がしみ込んでしまって着物が台なしになります。

地染め

次はいよいよ地色を染めます。写真のように広い部屋で染められます。たいていの場合、地面はコンクリート、クーラーもヒーターもありません。これは温度や湿度が変わってしまうと色まで変わってしまうためです。

豆汁(ごじる)といって大豆を一日水に浸けて作られた液を念入りに反物に均一に塗り込んでから染料で染めていきます。豆汁はお化粧のまえの化粧水みたいなものですね。

友禅流し

言わずと知れた友禅流しです。あれ?友禅流しって川でやるんじゃないの?と思った方、最近では環境問題やその他の問題で川ではあまり行われていないみたいです。

ここは加賀友禅の協同組合の工業団地です。この水は井戸水でそのまま飲めるぐらいきれいだそうです。ここで着物をゴシゴシ擦って糊を落としていきます。ここで先ほどの青花の色も落ちるわけですね。

絹は水に濡れると極端に弱くなるので、一見無頓着に擦っているようですが、実は絶妙な力加減で擦っています。

乾燥

大量の水で洗われた着物は乾燥室で乾燥されます。ここはむちゃくちゃ暑いですよ。天井が低くて屈まなければ歩くことすら出来ませんでした。

写真の中で天井からぶら下がっている着物は子供の七五三用の四つ身の着物です。「ぐおーっ」というヒーターの音でしょうか、かなりうるさかったです。

地入れ

呉服屋や悉皆屋さんでは仕立前の湯通しなどを地入れと呼ぶ場合もありますが、この場合は先ほど友禅流しの後に乾燥させた着物はヨレヨレになっていますので、専用の機械にかけてきっちりと一定の幅に揃えていく工程を指します。

具体的な方法としては着物に蒸気を当てながら幅出しをしていくのです。ヨレヨレだった着物が地入れの機械を通ると魔法のようにきれいな着物になっていくのは圧巻ですよ!

こうやって友禅染めの完成です。

最後に

最後まで読んでいただいて有難うございました。呉服屋という仕事をやっている以上、あちこちの産地に勉強に行ったりしますので、ときどきこういう感じで写真入りで着物の製作工程を紹介させていただきたいと思っております。製作工程を知っていただき、着物を一枚作るためにどれだけの職人さんの想いが詰まっているのか、その想いを感じていただければ幸いです。

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