加賀藩繁栄の礎を築いた前田利家とまつ。 激動の世を見通す力、藩主にふさわしい器量を備えていた利家と、利家を支え晩年は身を挺して藩の安泰を願ったまつ。
その二人にふさわしい言い伝えが[左馬]だ。 右に出る者なし。 左馬とは並ぶ者がいないほど傑出した才能をあらわす言葉。
天正一二年、越中の佐々成政を破った末森城の戦いの時、まつが武運を祈り利家の陣羽織の内側に「馬」の文字を左右逆に刺繍したと伝えられている。
「十死に一生有無の一合戦-」と激戦覚悟の利家の出陣を、得意の刺繍で彩り、守ったまつ。その伝説の[左馬]のお守り。 利家とまつを祀(まつ)る尾山神社から戴いた護符を、まつにちなんだ[左馬]の加賀繍の守り袋とともにお届けする。
右に出る者なし。誕生祝い、七五三、合格祈願、入学祝い、成人式に。 運を開く願いを込めて開店開業、さまざまな門出に、還暦など賀の祝いに。 利家とまつにふさわしく、恋愛祈願、結婚祝い、家内安全に。 利家とまつが築いた加賀の美と心が幸運のしるしとなるよう、左馬をあらわす刺繍の一針一針に願いを込めた。
利家とまつを祀(まつ)る尾山神社は金沢市民の心のお社(やしろ)。 お守りは心の拠り所。子を思い家族の幸せを願って贈るお守りは、たとえ遠くに離れていても、人を勇気づける。 「私のことを大切に思ってくださる人がいる。お守りを手にするたびに贈った方を思い出し、それだけで元気が出るものです。みずからを励ますために、ご自身で求められてもいいと思います」。 (写真:尾山神社正面と尾山神社 河正昭宮司)
ステンドグラスが印象的な神門から境内へ。秋には健やかな成長を願う七五三の子供たち、菅原道真の末裔とされる前田家らしく絵馬には合格祈願の文字が目立つ。
右に出る者なしの心意気を。利家とまつの仲睦まじさを。尾山神社からいただいた護符に、さまざまな願いを込める。
加賀繍は上品なぼかし繍、立体的な肉入れ繍が特徴。絹糸ならではの光沢と深い艶、細い絹糸だから繊細な文様も自由自在だ。 刺し方や糸の扱いひとつで、ふっくらと、時にはすっきりと。 意匠にあわせたそれぞれの技法で一針一針ていねいに刺す。 「国指定の伝産品は刺繍では加賀繍と京繍のみ。いまも金沢では能楽がたいへんに盛んですが華麗な能衣装や、真宗王国ならではの仏壇の打敷、きものの加飾などで発展してきました」。
馬の文字を左右逆にして[左馬]とした洒脱な意匠を彩る加賀繍の上品で繊細な技。左馬のお守りには利家とまつ、二人が築いた百万石の物語が込められている。