36番青龍寺から宇佐大橋まで戻り、浦ノ内湾北側を西に5キロ、県道23号沿いの小高い丘の上に浦ノ内小学校があります。入り口には高知県でよく見かける良心市の黄色い棚台、商品は5・6年生が平らな小石に顔を描いたお地蔵さんのお守り。お遍路さんに「どうして歩いているのですか」と問いかけ、返信用はがきが学校あて届く仕組みになっています。
良心市を開店したのは2003年。この間、500以上のはがきが返ってきました。お守りのお礼に加え、最近目立つ内容は東日本大震災関連。「亡くなられた方たちのご冥福を祈って」「募金だけで終わりにはできず、遍路という形で祈っている」「自分が歩いて辛い分だけ、誰かが助かればいい」など。
さらに「亡くなった母から聞いていた遍路の話を思い出して」「体を動かしたい、見知らぬ土地を訪ねたみたい。そして自分を見つめてみたい、そんな気持ちが一つになって四国に来ました」「あきらめず、何度にでも区切って歩きます。みなさんも人生を諦めることなく、周囲の人にも優しくして…」。
返信は20歳代から80歳代の幅広い大人から届きます。小学生の質問に対し、大人は真剣に向き合って答えているのです。お遍路さんに伝わるメッセージがいかに大きいかを物語っている、と思うのです。
植田栄一校長は「豊な感性は、幼いころほど大きく育つ。近年は学力優先で時間的なゆとりはないが、お遍路さんとのふれあいなど人間的な体験から“自分を大切にし、人を大切にし、世の中を生きぬく力”を身につけてほしい」と語っていました。(一)
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