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美味しいみかんの裏側、オレンジファーム本田の一年

公開日:2026/04/14 更新日:2026/06/03
執筆:天草市ふるさと納税サポート室 大塚 一つのみかんが、あなたの手元に届くまで。 そこには、想像以上の時間と手間がかかっています。 天草の自然の中で、天候と向き合い、虫と戦い、一本一本の木を見続ける日々。 「正直、簡単な仕事じゃないです」 そう語るのは、みかん農家として8年目を迎えたオレンジファーム本田の江頭さん。 もともとは福岡県で全く別の仕事をしていましたが、子どもが小学校に上がるタイミングで、家族との時間を選び、地元へ戻ってきました。 しかし、実際に始めてみると—— 想像していた“農業”とはまったく違う現実。 体力だけでは通用しない、判断と経験の世界。 それでも続けてきた理由は、ただ一つ。 「自分たちが手をかけたものを、美味しいと言ってもらいたい」 ここでは、そんな想いで育てられたみかんの裏側と、一年を通して続くリアルな仕事の姿をお届けします。 取材では、ちょうど剪定作業中のオレンジファーム本田のお父さんと、娘の江頭さんにお会いしました。
目次 ・「今しかない」、Uターンの理由 ・みかん作りは、体力ではなく「判断力」 ・みかん作りの1年 ・美味しさの理由は「土」にある ・開けた瞬間の“感動”まで届けたい ・父から娘へ、受け継がれる畑

「今しかない」、Uターンの理由

「子どもが小学校に上がるタイミングで、帰ろうと思いました」 天草に戻ってきて、今年で8年目。 きっかけは特別な出来事ではなく、“家族との時間を取り戻したい”という想いでした。 仕事に追われる毎日。 気づけば、子どもと過ごす時間がほとんどない。 その中で選んだのが、地元でのみかん作りでした。 もともと家業でもあったみかん栽培を継ぐ形で、本格的に農業の道へ進みます。

みかん作りは、体力ではなく「判断力」

農業は「若さと体力があればできる」 ——そう思っていたといいます。 しかし、実際はまったく違いました。 ・肥料のタイミング ・農薬の配分 ・天候の読み ・収穫の見極め すべてが“判断の積み重ね”。 「体力よりも、頭を使う仕事でした」 さらに、収穫しただけでは終わらない。 “売る”ことまで考えて、はじめて農業は成立します。

みかん作りの1年

みかん作りは、収穫の時期だけではありません。 一年を通して、途切れることなく続いていきます。 ■ 春(3月〜5月)|次の収穫に向けた準備 収穫が終わると、すぐに次の年への準備が始まります。 木の間隔を整えるための間伐や剪定、土づくりのための施肥。 「光がしっかり入るようにすることが、いい実をつくる第一歩です」 ■ 夏(6月〜8月)|品質を左右する重要な時期 この時期は、特に気が抜けません。 ・害虫対策(ダニ・カメムシなど) ・定期的な防除作業(約1ヶ月に1回) ・天候との戦い(猛暑・乾燥) 「害虫が発生すると、一気に商品にならなくなる」 さらに、摘果(てきか)作業も重要。 実をあえて落とし、残した実の品質を一層高めます。 ■ 秋(9月〜11月)|実を育て、見極める 実が大きくなり、色づき始める時期。 ここで重要なのが、“収穫の見極め”。 ・糖度と酸度のバランス ・日照時間 ・園地ごとの状態 園地ごとに果実を数個採取し、光センサーでの検査や、実際に味を見ながら、ベストなタイミングを判断していきます。 ■ 冬(12月〜4月)|収穫と出荷のピーク いよいよ収穫。しかし、本当に大変なのはここからです。 ・収穫 ・運搬 ・選別 ・箱詰め ・出荷 すべて手作業が中心で、3,000ケースものみかんを扱います。 「収穫して終わりじゃない。そこからが本番です」

美味しさの理由は「土」にある

オレンジファーム本田では、間伐した枝や葉をシュレッダーにかけ、有機肥料として土に還しています。 柑橘には「隔年結果」という性質があり、木の負担が大きいと、翌年に実がつかなくなることもあります。 だからこそ大切なのが、土づくり。 保肥力の高い土をつくることで、木にしっかりと栄養を蓄え、安定した品質へ。 さらに、水はけと適度な乾燥をコントロールすることで、果実にほどよいストレスがかかり、糖度がギュッと凝縮された、濃い味わいのみかんに仕上がります。

開けた瞬間の“感動”まで届けたい

「開けた瞬間に、“いいな”と思ってほしい」 ・きれいに並べる ・丁寧に詰める ・見た目にも気を配る 家庭用であっても妥協しない。 「ぐちゃっと入っていると、それだけで印象が下がる」 味だけではなく、届いた瞬間の体験まで大切にしています。

父から娘へ、受け継がれる畑

木の剪定作業中、先代のお父さんにもお話をお伺いしました。 「娘の代でも続けやすいように」 上に伸びた枝を切って、光が入りやすく、収穫しやすい木へと整えていく。 その想いはしっかりと次の世代へ。 娘の江頭さんも、1年を通して柑橘を楽しんでもらいながら、収入が安定するよう、加工にもチャレンジしていきたいと考えています。 農業は、楽ばかりではありません。 しかし、天草の豊かな自然や、父や周りの方々からの温かい助けを得ながら、家族との時間も大切にしつつ、このみかん作りを「楽しんでいきたい」と語ります。 今はとにかく、しっかりと美味しいみかんをきちんと作ることに専念しているといいます。 甘さだけではない。 ほどよい酸味も感じられる“みかん本来の味わい”。 それを楽しんでいただける方に、ぜひ手に取っていただきたい一品です。

▼丹精込めて育てた肥の豊

▼ 天草からのおたより