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【第21回 天草大陶磁器展】 陶石の島から陶磁器の島へ

公開日:2025/11/13 更新日:2026/06/03
執筆:天草市ふるさと納税サポート室 大塚 全国から98の窯元が集まり、それぞれの土地で育まれた焼き物が一堂に並ぶ「天草大陶磁器展」。 土のぬくもり、釉が生む深い色合い、作り手の息づかいーー。 今回は、現地の様子を取材するとともに、主催者「天草陶磁器の島づくり協議会」の岡部会長(水の平焼 8代目)にお話を伺い、イベントに対する想いをお届けします。 ■目次 ・熊本県下最大級、全国から窯元が集結 ・作り手と出会う特別な時間 ・天草から全国へ広がる陶芸の輪 ・「陶石の島」天草がつなぐ、新しい出会い ・俳句×陶芸の異色コラボ「句会ライブ」 ・子供たちがつなぐ未来へのバトン ・天草の焼き物文化を次の世代へ ・まとめ

熊本県下最大級、全国から窯元が集結

今年で第21回を迎える「天草大陶磁器展」は、熊本県下最大級の陶磁器の展示即売会。 北海道から鹿児島まで、全国98の窯元が一堂に会し、個性あふれる作品を直接見て、触れて、購入できるイベントです。 会期は10月31日~11月4日の5日間。メイン会場となる天草市民センター・体育館は、初日から多くの来場者でにぎわいました。昨年は約2万人が訪れた人気イベントで、今年もその熱気は変わりません。

作り手と出会う特別な時間

私は、2日目の11月1日に会場を訪れました。 会場内には、それぞれの想いを込めた器がずらり。コップや皿などの日用食器や香炉、時計、置物、陶磁器アクセサリーなど、どのブースも個性豊かで、つい足を止めてしまいます。 この陶磁器展の魅力は、作り手である窯元の方と直接話せること。作品のこだわりや制作の裏話など、作家さんから直接聞くことで、器への愛着がいっそう深まります。 また、会場ではお気に入りの器を選んでコーヒーを楽しめるコーナーや、ろくろ体験(休日限定、先着順)もあり、実際に「使って・感じる」ことができます。 外の特設会場では、牛深ハイヤ踊りや天草の食ブースも登場。地元グルメを味わいながら、陶芸と天草文化の両方を堪能できる、まさに“天草の芸術まるごと”体感できるイベントです。

天草から全国へ広がる陶芸の輪

第1回の開催は33窯元。天草内や熊本県内の窯元を中心にスタートしました。 当初は規模も小さかったため、地元の窯元さん達が中心となって知り合いの県外へ窯元へ積極的に声をかけ、年々規模を拡大。今では、出展希望が出展枠を上回るほどの人気イベントへと成長しました。 新型コロナ禍では、開催を見送った年(2021年)もありました。加えて、移動制限がされていた年は、県外の窯元の作品は委託販売という形で実施するなど、工夫や困難を乗り越え、繋がりを絶やさず、再び盛り上がりを取り戻しています。

「陶石の島」天草がつなぐ、新しい出会い

今年は、天草陶石をテーマにしたパネルディスカッションを開催。陶磁器の原点である天草陶石の成り立ちを見つめ直し、新しい素材や粘土の新たな可能性を探る内容でした。 さらに愛媛県砥部町の「砥部焼」との交流ワークショップも行われました。 実は、天草と砥部は地質的に「中央構造線」で結ばれており、いずれの地にも良質な陶石が形成されるという、自然の深いつながりがあります。 歴史をたどると、江戸時代、大阪の砥石問屋が天草で採れる陶石の優秀さを見出し、大洲藩に対してその原石を用いた磁器生産を提案したことが、砥部焼誕生の大きな契機となりました。 今回のプログラムでは、こうした歴史的背景と交流の原点に立ち返り、天草と砥部それぞれの土地の“土”を交換。参加者は受け取った粘土を手にし、心に残る場所やものに粘土を押し当てて“痕跡”を写し取るフィールドワークを実施。 その後、両会場をオンラインで結び、「どのように土地の個性を感じたか」を共有しました。砥部焼と天草陶磁器が交わることで、土を通じた地域同士の文化のつながりを見つめ直しました。

俳句×陶芸の異色コラボ「句会ライブ」

関連イベントとして、俳句の第一人者・夏井いつき先生による「句会ライブ」も開催されました。 陶芸は「土」、俳句は「言葉」を素材にした表現。ジャンルは違うが、どちらも“創造”という芸術の根っこでつながっています。 愛媛県出身の夏井先生と、砥部焼250周年を迎える愛媛・砥部町との縁が、天草でのこの企画へとつながりました。「言葉」という身近な素材から生まれる表現の深さを体感できる、まさに芸術の共演です。

子どもたちがつなぐ未来へのバトン

会場では、地元の子どもたちによる作陶体験の作品発表も。 30年以上続くこの取り組みは、次世代に焼き物文化を伝える大切な活動です。 子どもたちが粘土に触れ、自分の手で形を作る体験を通して、「やきもの」を身近に感じてもらう。 そんな小さな一歩が、未来の陶芸家を生み出すきっかけになるかもしれません。 実際の作品は、子供たちらしいキャラクターを模したものや、「コップの取っ手が壊れたけど色を付けたら、和風っぽくなってよかった」など感想もさまざま。

天草の焼き物文化を次の世代へ

天草は、かつて陶磁器の原料である天草陶石が獲れる供給地でありながら、産地としての産業化が進まなかった背景があります。 そのため、天草市内の窯元ごとに独自の感性が育まれ、作品には多様な作風が生まれました。この個性豊かな表現の広がりこそが、天草の焼き物の大きな魅力の一つとなっています。 天草陶磁器の島づくり協議会の岡部会長(水の平焼8代目)は、語ります。 「この会場だけで終わらず、天草エリア全体を盛り上げていきたい。 一過性のイベントで終わらせることなく、後継者の育成や若手の定住支援など、文化を“次の世代へ”つないでいくことが大切です。」 “陶石の島”から、“陶磁器の島”へ。天草の挑戦は、進化し続けています。

まとめ

第21回を迎えた「天草大陶磁器展」は、器の販売にとどまらず、人、土と文化、そして地域をつなぐイベントへ。 天草内の窯元さんが、日ごろ対面販売で触れ合うお客様と接して気づく学びや発見を新たな企画として生み出していっています。 全国の作り手と来場者が交わり、伝統と新しい感性が響き合う空間です。作り手の技術や思いに触れたい焼き物ファンはもちろん、食卓を彩る器を探している人にも楽しめるイベントです。 第22回天草大陶磁器展の開催は、2026年10月31日(土)~11月4日(水)です。 お気に入りの逸品を探しに、ぜひ会場へ足を運んでみてください。

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