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【第335号】花の開花のメカニズム

公開日:2026/02/10 更新日:2026/07/10
  • 2月の植物管理のうんちく

    苗木部通信 no.335 より 〜 2026年2月1日配信 〜 こんにちは。苗木部部長の高井尽です。 植物管理のうんちくをお届けししております。 よろしくお願いします!
    冬にやっておきたい肥料のお話とか、 冬に予防しておきたい病害虫のお話とかを書こうかと思いましたが、 さすがに、寒いので、ちょっと雑談をします。 今日は花の開花のメカニズムについて、思いつくまま、あれこれ申し上げようかと思います。 圃場では発送待ちのまま、お取り置き中のロウバイの黄色い花がまだ咲いていました。
    ロウバイ早くて12月ごろから花が咲きます。まだ花が残っていますが、長く咲いているだけで、蝋梅(ロウバイ)の花はもうすでに香りもほとんどありません。 「咲いている」というより、「花びらが残っている。」と言ったほうがいいかな。 商品の状態の説明に、花芽つきとか、花つきとか、書けるけど、上記のような花が終わりかけですと、なんて書いていいかいつも悩みます。 気温が低いと植物は成長が鈍化しているように、花が咲き始めから咲き終わるまでの開花期が長いです。開花期が長いのはいいですね。長く楽しめますから。 同じ理由で晩秋~冬に咲くサザンカや早咲きのクリスマスローズも開花期が長いです。 これから気温が上がっていくので、開花リレーが始まります。気温が低いと花が長持ちするので、早咲き種は得した気分になります。 バラなどでも春の花や遅咲きのバラほど花もちが悪い(花が終わるまで早い)です。気温が日々上がっていくのと、日照時間がどんどん長くなっていくので、成長が早くなるものですから、開花して開花が終わるのが早いわけです。 逆に秋に咲くバラの花は日々気温が下がっていく中、日々日照時間が短くなっていく中で咲くわけなので、花もちも良く、長く楽しめます。香りも秋のバラの方が豊満と感じることも多いと思います。 夏のバラはまさに暑い中咲くわけで、さっさと花が終わるでしょう。体力も消耗するので、株が若いうちは秋の花のために取り除くのが良いと言われます。咲き終わるまで短かな花を楽しむよりも、豊かな秋の花に期待する。そんな楽しみ方も良いと思います。 夏に花が咲く植物の多くは暑い中なのに開花期が長いものが多いです。 夏の代表的な花木のムクゲやサルスベリなど、1ヶ月以上咲いています。 ムクゲやハイビスカスの花は一日花と言って、開花して1日で散ってしまいます。一つ一つの花が終わるのが早いですが、次々と蕾が上がっては開くので、全体に開花期が長い植物です。 サルスベリも漢字で書くと百日紅と書くように100日くらい咲きます。100日はものの例えだと思いますが、6月から咲き始め、9月の終わりから10月初旬まで咲いています。
    桜やハナミズキ、ロウバイもそうですが、冬から春に咲くほとんどの花木は6~8月に花芽ができます。気温の上昇に伴い4月以降新芽が伸びだし、6月になると新しい枝の生長は止まります。 そして、6月下旬から7月上旬に花芽分化します。 初夏から真夏に出来た花芽が少しずつ膨らみ、冬を越えて、春に開花します。 なので、夏以降に無闇に剪定をすると花芽を落としてしまったりするので、剪定の際は注意しましょう。 樹勢が強いと6月以降も枝が伸び続けて、花芽分化できずに翌年の花が咲かなくなります。植えたばかりの若木はもともと樹勢が強いですから、伸び続けて花芽がつかなかったり、あるいは、強い切り戻し剪定をして樹勢が強くなって、花芽を付けなかったり、あるいは、肥料が効いて旺盛に育つために花芽がつかなかったりもします。 花が咲かなかったのは別に悪いことではありません。 枝が良く伸び、葉もよく茂り、順調に体力をつけているわけですから、育て方が下手とかではないです。 「何が悪かったのでしょうか?何が原因でしょうか?」とご質問もいただきますので、毎日のように上記のお話をメールでお答えします。 早く花や果実を楽しみたいお気持ちもよくわかります。 繰り返しますが、花が咲かなかったのは別に悪いことではありません。順調に木が育ったら樹勢もそのうち落ち着きます。 そうなったら花もたくさん咲き始めるしょう。 樹勢は例えていうなら、落ち着きのない小学生の子供に早く子作りさせるようなもの。 高校生くらいになったらほとんどの落ち着きのない子も落ち着いてくるでしょう。 それまでは、元気に健康に育ってくれればいいと思います。 植物が花を咲かせるのは、受粉して種を作るためだそうです。 昆虫の力を借りて受粉するのを虫媒花というのですが、昆虫を誘うためにさまざまな色になったり、香りを出したりするそうです。 虫媒花では昆虫が来なければ受粉できませんので、ハウス栽培や屋内栽培では受粉せずに果実がつかない場合も考えられます。 近所のいちご狩りのハウスでも受粉用にミツバチを飼ってらっしゃいます。 昆虫に頼れなければ、人工授粉をしてあげると良いです。開花時期に雨が多くて昆虫の飛来が少ないと、受粉不良で果実が少なくなることもあります。 花粉は水に濡れるとその力が減ってしまいます。
    ナンテンなどが実つきが悪いのはたいていそうです。 また、花弁枚数が多いバラでも蕾が濡れると開花しなくなったりします。 雨に当たらないよう、傘で雨避けしてあげるのも良いでしょう。 人工授粉をしないとダメでしょうか? ダメなことはありませんが、やらないよりもやった方がいいよ。 どれくらいの距離で受粉しますか? 昆虫が飛んでくれる距離なので、結構離れても受粉しますが、できるだけ近いほど良いと思います。 風で花粉を運ぶのを風媒花と言うのですが、山桃や銀杏などがそうです。 風なので、結構広い範囲に飛散します。数キロ、数十キロ飛散しますので、たいていメスだけ植えておけば結実します。 だって、杉林が生えてなさそうな都会でも花粉症で皆さんお困りですよね。 それくらい風媒花の花粉は飛散するわけです。 風媒花の花は昆虫を呼び寄せる必要もないので、花は美しくもなく、色もさほど綺麗ではありません。香りもないのでは? シャクナゲの花芽のつきかたも少しお話しします。 石楠花は花首のところの新芽が伸びて、伸びた新芽の先端に翌年の花芽を初夏に作り始めます。花が終わっても花がらを長く放置すると種を作り始めてしまい栄養消耗をしてしまうので、放置していると翌年の花芽ができなくなったり、少なくなります。花が終わりに近づいたら早めに花首のすぐ下で花をとってしまいましょう。 春に開花する花木や果樹は、花が終わるとすぐに翌年の花の準備をし始めます。 ソメイヨシノなど一部の植物は果実をつけないものもいます。 品種改良の過程で生殖機能が限りなく失ってしまったのだと思います。 でも、ほとんど全ての植物は子孫を増やすために生きています。 子孫(種)を増やすために、花を咲かせ、種を作ろうとします。 桜並木で、花が咲かない木はないですよね? なので、放っておいても、いつか必ず花が咲きます。 今年ダメでも、来年、来年ダメでも、もしかしたら3年後に花が咲くかもです。 花が咲かないと言うことはありませんが、前述のしゃくなげなどのように、花を早く多く咲かせるコツや早く実をつけさせるコツがありますので、それを試してみるのも、育てる楽しみの一つです。
    花を長く楽しむには、開花し始めてから、気温を下げてやったり日照を少なくすることも有効です。成長が鈍化しますので、花が楽しめる時間が増えます。 これも育てる楽しみの一つかな。 植物は子作りするために花が咲きます。 その花を楽しませてもらうために植物を育てるので、より花を長くよく楽しむための工夫や様子も、楽しんでいただけると嬉しいです。 花屋さんのガラスの冷蔵ストッカーも花が長持ちさせるための工夫です。 在庫の切り花は日照がない低温管理できる冷蔵ストッカーでストックされています。 花もちを良くするためです。 同じような考え方ですが、当店から発送する植物も輸送に数日日数がかかったとしても、水切れしたりはしません。 ご注文商品は段ボール箱に梱包されてお届けしております。 段ボール箱の中は真っ暗ですので、成長が鈍化します。 水も欲しがらなくなり、2~3日お届けが遅れてしまっても、植物の生長には悪い影響はほぼありません。数日受け取りが遅れて水切れして枯れることはまずありません。ご安心いただきたいと思います。 もっと気温が高くなった時期であれば、空気のこもる段ボール箱の中に入れておくのは少しでも短い方が良いです。時期によって変化しますので、臨機応変です。 小笠原諸島などの離島への出荷では、時には10日くらい輸送に時間がかかる場合があります。気温が低い時期はそれでも枯れずにお届けできております。 5月以降は流石に心配な時期で、植物によっては発送前に出荷できないと気づいて、ご注文者さまに事情を話して相談をします。 何月から心配になるとかではなく、運ぶ植物が葉が良く茂っているか、花が良く咲いているかによるので、いわゆるその植物のその時の状態によりますので、まさに臨機応変です。 寒い日が戻ると花が少し長く楽しめます。 そう考えると寒い日も楽しみが長く続くのでいいものでしょ? 最後まで読んでくださいまして、ありがとうございました! 苗木部 部長 高井尽(たかいつくす)
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    更新日09/17(09/10〜09/16集計)