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咲き誇れ、未来をつなぐ応援の花。徳島“応援花”プロジェクト 第四回

公開日:2025/11/04 更新日:2026/01/08

第4回:学生とともに育てるカーネーション

― 星野さん直伝!實平先生の技術指導

9 月 22 日、徳島はまだ夏日の気温を更新し続け、朝夕にかすかに秋の気配が混じるものの、温室の中は真夏のような熱気に包まれていました。 この日は私たち、花由のスタッフに加え、地元新聞社や NHK の報道機関も、学生たちのひたむきな活動に注目し、城西高校へ取材に訪れていました。 そう、この日は、植物活用科草花専攻班 2 年生の生徒 8 名が、200 株のカーネーション“応援花”のプラグ苗の植え替え作業に取りかかる日です。 待ち望んだ実習の日が、ついに始まります。

「丁寧に、でも迷わず」― 実習開始の声

指導担当の實平先生が声をかけます。 「普段から植え替え作業をしている君たちなら、あっという間に終わる作業かもしれません。丁寧にやっていきましょう。」 その言葉どおり、生徒たちは迷いのない動作で苗を扱っていきます。 土を包み込む手つきには経験と自信があり、教室には静かな集中が広がっていました。 同席していた弊社の副社⾧も感動し、 「本当に無駄な動きがなく、あっという間に終わってしまった。 植物の扱いも丁寧で素晴らしい。すぐにでも現場で活躍できそうですね」と、 目を細めて語っていました。 一つひとつの動作に、積み重ねてきた努力が確かに息づいていました。

苗と向き合う、生徒たちの手つき

生徒たちは、普段から植物を育てているため、苗の扱いにも大変慣れたものです。 1 本ずつ丁寧に土を包み込み、2 人 1 組で声をかけ合いながら作業を進めていきます。 ある生徒に話を聞くと、 「普段植えている植物のサイズより少し鉢が大きいので、初めは難しいかなと思いました。うまく育ってくれ たら嬉しいです。」と、語ってくれました。 続いて話を聞いた生徒は、 「枯れないように、しっかり育てていきたいです。卒業する先輩たちに笑顔で受け取ってほしいです。」と、 まっすぐな眼差しで話してくれました。 その声の奥には、植物への愛情と、学びを形にしたいという責任感が静かににじんでいました。

土と水 ― 成⾧の基本を学ぶ

作業は、星野さんから栽培の指導を受けた實平先生のもとで進められました。 生徒たちは、鉢に入れる土の量や水やりの手順を一つひとつ確かめながら、 指先に伝わる土のぬくもりとともに苗を植え替えていきます。 来年 2 月ごろの開花を目標に、卒業生への贈呈や近隣小中学校への配布を計画中です。 その丁寧な動作やまなざしのすべてが、“未来の笑顔”を育てる一歩となっています。

応援花がつなぐ、意義と将来

城西高校ではシクラメンやサイネリアも栽培し、校内直売所や造園業者への販売も行っています。 しかし、掲載コラム 2 話でもお伝えしたように、近年の異常気象で植物の出荷調整が難しく、新しい品種を模索していたところ、この“応援花”の取り組みにご縁がつながりました。 担当の祖父江先生は、 「応援花は開花時期が⾧いことが特徴です。販売期間も⾧くなるため、生徒にとって新しい植物を育てる経験になり、しっかり栽培していきたいです。」と語ります。 秋からは経過観察、植物の状態によって追肥、水や日光の管理、そして、ほかの植物もあるので天敵である虫や病気の処理などもしながら、開花直前の花摘みなどを通して、さらに成⾧を見守っていく予定です。 生徒たちが手にする一鉢一鉢のカーネーションには、ただ花を育てるだけでなく、誰かを思う気持ちや感謝の心が込められています。 「枯れないように、しっかり育てたい」 「卒業する先輩たちに笑顔で受け取ってほしい」 ――そんな想いは、まさにカーネーションの花言葉

「愛」、「感謝」、「深い思いやり」

そのものです。 カーネーションは、愛や感謝、思いやりの気持ちを伝える花。 誰かを想い、手をかけるそのひと手間が、応援花を咲かせる第一歩なのかもしれません。
■次回へつづく(2026年 春 掲載予定) _______________________________________ ■ 著者情報  コラム執筆者:花翔ちこ(はなと ちこ) 筆者プロフィール: 前職では旅行業界に従事し、国内外を飛び回る添乗員として活躍。 現在は花の世界に魅了され、株式会社花由にて商品企画を担当。 2児の母として家庭と仕事を両立しながら、日々「花のある暮らし」の魅力を再発見。花の知識はまだ発展途上ながら、花農家さんの声や販売の花に込められた想いを、自分の言葉で丁寧に届けたいと奔走中。 趣味は旅行と音楽鑑賞。好きな花はユリ、ダリア、ストレチア、アンスリウム。「読者の皆さまと一緒に、花を通して成長していきたい」という気持ちを胸に、本コラムを執筆しています。 ■ 花農家情報  花農家プロフィール: 星野 晃正さん 群馬県前橋市カスカワ・シードリング・アソシエーション代表。カーネーション栽培歴40年以上。 暖房や加湿器を一切使わない、自然の気候と土地の力を活かした“無加温栽培”にこだわり、丈夫で長持ちする品種づくりに取り組む。代表品種は応援花「サキーネ」。 花業界全体の未来を見据え、全国の高校生へ栽培技術と情熱を伝える教育活動も展開中。
■ 協力校情報  徳島県立城西高等学校 植物活用科 (とくしまけんりつじょうせいこうとうがっこう しょくぶつかつようか) 徳島市鮎喰町(あくいちょう)にある高等学校。 令和6年度に創立120周年を迎えた伝統ある専門高校です。 校訓に掲げる「耕心(こうしん)」――“大地とともに、心を耕す”という想いのもと、生徒たちは地域や自然、人とのつながりを大切にしながら、農業を軸とした実践教育に取り組んでいます。 農業系の4学科(植物活用科、生産技術科、食品科学科、アグリビジネス科)に加え、県内で初めて設置された総合学科があり、時代のニーズに応じた多様な学びを展開。 なかでも植物活用科では、草花や伝統的工芸作物である阿波藍(タデアイ)の栽培、植物バイオテクノロジーなどを通じて、快適な生活空間の創出や地域文化の継承に取り組んでいます。 校内には、生徒が育てた野菜や花苗を販売する直売所もあり、「育てる」から「届ける」までを実践的に学ぶ機会を提供。 特に阿波藍専攻班では、藍の栽培から染料づくり(すくも)、さらには藍染製品の開発・販売に至るまで、地域と連携しながら持続可能な産業教育を進めています。 山と清流に囲まれた恵まれた環境の中で、地域に根ざした“温かな学び舎”として、多くの若者が未来を耕し続けています。 _______________________________________

次回予告 ― 想いをのせて咲く応援花

※次回は、卒業生にカーネーションを渡す場面を中心に、応援花の成⾧と生徒たちの成⾧を取材してお届けします。どうぞお楽しみに。

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