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咲き誇れ、未来をつなぐ応援の花。徳島“応援花”プロジェクト 最終回

公開日:2026/03/26 更新日:2026/03/27

最終回:想いをのせて咲く“応援花”

― 未来へ手渡す一鉢

2026年2月27日、午前9時15分。 徳島県立城西高等学校の卒業式が始まりました。 今年は卒業生が142名。式典は二日間に分けて行われました。 数日続いた長雨がようやく上がり、前日からは嘘のように晴れた徳島。 この日は最高気温が20度近くまで上がる、穏やかな春の気配を感じる朝でした。 そんな晴れやかな日に、卒業生へ「応援花」サキーネの贈呈が行われました。 今回の企画のためにスケジュールを調整してくださった城西高校の先生方には、感謝の気持ちしかありません。 また当日は、NHK徳島放送局の取材も入り、私たちも一緒に取材をさせていただきました。

「育てる大変さがわかる花」

昨年9月の苗の時期から開花までを見守ってきた卒業生の一人は、こう話してくれました。 「赤と白の色の花を見ると本当にきれいだと思いました。 私たちも別の植物で環境管理や養分管理の難しさを学んできたので、この花を育てる大変さがよくわかります。」 贈呈の場で、生産者の星野さんの名前と、私たち "フラワーマーケット花由" の名前が紹介された瞬間、胸がいっぱいになり、思わず目頭が熱くなりました。 サキーネの花言葉は「感謝」と「尊敬」。 卒業生の代表の言葉で、こう語ってくれました。 「この花言葉を胸に、大事に心に花を咲かせて前に進みたいです。」

教室で渡された「応援花」

式典の後、各教室で行われたホームルーム。 そこでは、在校生から卒業生へサキーネが手渡されました。 取材では、在校生・卒業生・先生それぞれに話を聞くことができました。

在校生の声

◆Q:このプロジェクトで一番大変だったことは? A:土の深さや量の調整、液肥の管理が難しかったです。 中が空洞になってしまって、カーネーションが均一に咲かないこともありました。 太陽光がまんべんなく当たるように鉢を回したり、土の管理をしたり、授業の時間が足りないときは先生にも手伝ってもらいながら育てました。 _______________________________________ ◆Q:花を渡す瞬間、どんな気持ちでしたか? A:今までの感謝の気持ちを込めて贈りました。 きれいに咲いてほしいと思って育てました。 知っている先輩に渡すのでプレッシャーもありましたが、無事に咲いて本当によかったです。

卒業生の声

Q:この花を受け取って、どんな気持ちですか? A:応援花のことは、噂には聞いていましたが、本当にきれいです。 後輩が頑張ってくれたので、これから自分も頑張ろうと思いました。 この花のように、これからの生活もまっすぐ成長していきたいです。

先生の声

Q:生徒さんの変化を感じた瞬間はありましたか? A:今まで育てていたサイネリアより手がかかりました。 特に液肥の管理や開花調整など、植物に関わる時間が増えました。 今回は「渡す相手が先輩」という明確なターゲットがあったことで、失敗できないという気持ちもあり、生徒たちはこれまで以上に頑張ったと思います。 _______________________________________ Q:「応援花」を育てることで生まれた効果は? A:“応援”という意味があることで、生徒たちも想像しやすかったと思います。 誰に向けて育てているのかが見えるのは、学生にとって、とても良かったですね。 _______________________________________ Q:来年度への期待は? A:授業時間が足りず、職員が手伝うことも多くありました。 現在、農業ハウスでは約50種類を育てていますが、 カーネーションは初めての栽培だったので、生徒も職員も苦戦しました。 次年度は肥料の方法や置く環境なども試行錯誤しながら、カーネーションの栽培を定着させていきたいと思います。 _______________________________________ — 先生は最後に、こんな言葉も添えてくださいました。 草花専攻の生徒でも、今まで花を触ったことがない生徒もいますし、誰かに花を贈った経験がない生徒もいます。 この取り組みが、若い世代が花と関わるきっかけになれば嬉しいです。

地域へ広がる「応援花」

今回育てられたサキーネは、卒業生や近隣の保育園等に贈呈し、残りを販売するのではなく、 城西高校の直売所でサイネリアを購入された方へプレゼントされる予定です。 まずは地域の方々に、“応援花”という文化を知ってもらうこと。 そこから少しずつ広げていきたいという思いが込められています。

そして未来へ

このコラムをここまで読んでくださった皆さま、 お付き合いいただき、本当にありがとうございました。 この地球上に、「雑草」と呼ばれる植物はありません。 それぞれの場所で、意味を持って生きています。 もし、こんな花の物語を取材してほしい、 生産者のこんな声を聞いてみたい―― そんなご意見がありましたら、ぜひ お問い合わせフォームから感想をお寄せください。 そしていつか、生産者・星野さんの夢である 「カーネーション サキーネ “応援花”の甲子園」 が開催される日を、私も心から願っています。 誰かを思いやる純粋な気持ち。 それを花に込めて育てる高校生たちの姿に、筆者はとても温かな気持ちをいただきました。 誰かを想って育てた花は、ただの花ではありません。 それは、言葉にならない気持ちをそっと託した「応援」です。 後輩が手渡した一鉢の“応援花”サキーネ。 その花の中には、きっと三年間の「ありがとう」と「がんばってください」が詰まっています。 卒業生がそれぞれの場所へ歩き出す春の日、この小さな応援花が、未来へ向かう背中を静かに押し続けてくれることを願っています。
_______________________________________ ■ 著者情報  コラム執筆者:花翔ちこ(はなと ちこ) 筆者プロフィール: 前職では旅行業界に従事し、国内外を飛び回る添乗員として活躍。 現在は花の世界に魅了され、株式会社花由にて商品企画を担当。 2児の母として家庭と仕事を両立しながら、日々「花のある暮らし」の魅力を再発見。花の知識はまだ発展途上ながら、花農家さんの声や販売の花に込められた想いを、自分の言葉で丁寧に届けたいと奔走中。 趣味は旅行と音楽鑑賞。好きな花はユリ、ダリア、ストレチア、アンスリウム。「読者の皆さまと一緒に、花を通して成長していきたい」という気持ちを胸に、本コラムを執筆しています。 ■ 花農家情報  花農家プロフィール: 星野 晃正さん 群馬県前橋市カスカワ・シードリング・アソシエーション代表。カーネーション栽培歴40年以上。 暖房や加湿器を一切使わない、自然の気候と土地の力を活かした“無加温栽培”にこだわり、丈夫で長持ちする品種づくりに取り組む。代表品種は応援花「サキーネ」。 花業界全体の未来を見据え、全国の高校生へ栽培技術と情熱を伝える教育活動も展開中。
■ 協力校情報  徳島県立城西高等学校 植物活用科 (とくしまけんりつじょうせいこうとうがっこう しょくぶつかつようか) 徳島市鮎喰町(あくいちょう)にある高等学校。 令和6年度に創立120周年を迎えた伝統ある専門高校です。 校訓に掲げる「耕心(こうしん)」――“大地とともに、心を耕す”という想いのもと、生徒たちは地域や自然、人とのつながりを大切にしながら、農業を軸とした実践教育に取り組んでいます。 農業系の4学科(植物活用科、生産技術科、食品科学科、アグリビジネス科)に加え、県内で初めて設置された総合学科があり、時代のニーズに応じた多様な学びを展開。 なかでも植物活用科では、草花や伝統的工芸作物である阿波藍(タデアイ)の栽培、植物バイオテクノロジーなどを通じて、快適な生活空間の創出や地域文化の継承に取り組んでいます。 校内には、生徒が育てた野菜や花苗を販売する直売所もあり、「育てる」から「届ける」までを実践的に学ぶ機会を提供。 特に阿波藍専攻班では、藍の栽培から染料づくり(すくも)、さらには藍染製品の開発・販売に至るまで、地域と連携しながら持続可能な産業教育を進めています。 山と清流に囲まれた恵まれた環境の中で、地域に根ざした“温かな学び舎”として、多くの若者が未来を耕し続けています。 _______________________________________

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