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インカットジュエリーができるまで①

公開日:2025/05/26 更新日:2025/07/28

第1回:インカットの生まれる場所を訪ねて

宝石の中に桜や星が浮かび上がる… カフェオリの看板商品、インカットジュエリー。 不思議でキュートなこのジュエリーは、宝石のまち・甲府にある2つの企業が、それぞれの匠の技を結集し、一つ一つ作り上げているのです。 宝石研磨工房のシミズ貴石で作ったルースを、市内の別のジュエリーメーカーで仕立てたオリジナルの枠にはめることで、カフェオリのインカットジュエリーは生まれています。 どのような職人たちが、どんな技術や想いをジュエリーに込めているのでしょうか? それぞれの会社を訪ねて伺ったお話を、全3回に分けてお届けします。

シミズ貴石を訪問!

最初に訪ねたのは、山梨県甲府市の研磨工房・シミズ貴石。 さくらインカットから始まったインカットのルースは、全てこちらの工房が手がけています。 カフェオリでは、2019年発売のさくらインカットジュエリー第1弾「トワザクラ」からお世話になっています。 社長の清水幸雄さんは、この道50年以上の大ベテラン。黄綬褒章受章の一級宝石研磨士です。 笑顔で出迎えていただきましたが、なんと釣りの最中に右手薬指を骨折してしまい、しばらく研磨はお休みだそうです。 "神の手"が負傷とはなんとも心配ですが、ご本人は「研磨で大事なのは親指・人差し指・中指。薬指でよかったよ」と笑いとばすほどポジティブ! インカットが生まれる現場をさっそく案内していただきましょう。

100種類もの原石が!

まず案内されたのは、石の保管室。 100種類もの原石がずらり!世界約30ヵ国から買い集めたそうです。 これだけ大きい石なら、かなりボリュームのあるルースが作れるのでは?と思ってしまいますが、宝石にできる部分はごくわずか。 「使える部分が1/4あれば良いほうですよ」と清水さん。 カットしてみたら中は全く違った...ということもあり、特にターコイズなど不透明な石は判別が難しいそう。 そういった中から良い石を選りすぐるのも、研磨職人の目利き技ですね。 宝石って貴重なものだとつくづく実感します。
アメジストの原石。 ひとつずつ色を見て、アメジストとローズアメジストに選別していきます。 さくらインカットのローズアメジストも、最初はこういう状態なんですね!
さくらインカットの大きなサンプルも見せていただきました。 手のひらサイズなので、どのようにカットが入っているのかよく分かります。 桜の花弁の切りこみまで入っていて、本当に細かいですね! どうやったら原石がこの状態になるのか。工房に移動して見ていきましょう。

石取り・粗削り

原石を選んで完成形を決めたら、傷のある部分を切断機でカットします。石取りという工程です。 刃にダイヤモンドパウダーが付いているから、どんな石も切ることができるのだそう。 石取りをしたら、傷のある部分が残っていないか見ながら、グラインダーという機械で粗削りをします。

ガードリング

次はガードリング。正確なサイズと形を取る工程です。 完成形に合わせたカムをセットして、旋盤に石を押し当てて削っていくと...キレイな真円ができました! この機械を使えば、誤差わずか0.05mm以内のほぼ正確なサイズと形を取ることができます。 昔はこの工程も全て手作業で、どうしても形の個体差が出てしまっていました。 シミズ貴石は甲府でいち早くこの機械を導入し、キレイなルースを効率的に作れるようにしたのだそう。 技術を重んじる職人でありながら、時代を先どる革新的な一面もあるからこそ、シミズ貴石からはインカットなどの新しいアイデアが生まれるんですね。

接着

熱で溶ける接着剤を使って、鉄製の棒に石を接着します。ここから先はこの状態で研磨をしていきますよ。 工房の隅には、接着されて研磨を待つ石たちがお行儀よく並んでいます。なんだか可愛いですね。 ルースの上部をクラウン、下部をパビリオンと呼びますが、まずはパビリオンから研磨していきます。

いよいよ研磨と模様入れ!

細かい作業の多いインカットの研磨は、目を酷使します。そのため清水さんではなく、若手の職人が担当しています。 ファセッターと呼ばれる道具を使って、面(ファセット)を作っていきます。 パビリオンに模様を入れるのもこの段階。 実は、インカットの特徴である桜や星は、ツヤ消しの面を作って模様に見せているんです。彫ったり描いたりではないんですね。 ファセッターを微調整して模様になる面を入れていきますが、手の感覚による部分が大きく、経験がものをいう工程です。やはり、とても緊張するのだそう。 ルーペで確認しながら少しずつ作業をしていきます。 シミズ貴石の研磨職人は、学校で研磨の勉強をしてから入社した方ばかりですが、それでもインカットが完璧に作れるようになるまで2〜3年はかかるのだとか。

長い道のりを経て完成

無事に模様が入っても、これで終わりではありません。 接着を貼り替えしてクラウン側も同様に粗削りと仕上げ磨り、最後の磨きをして、検品を通ったら、やっと1ピース完成になります。 小さな宝石にこれだけの手間がかかっているだなんて...!まさに芸術品、宝物です。 ---------- いくつもの手間をかけて、ようやく生まれた一粒のルース。 想像を超える、緻密で繊細な手仕事。その裏側を知るほどに、インカットへの愛しさが深まりますね。 次回はシミズ貴石のインタビューをお届けします。 失敗作が人気商品に変身、指先は別人格!?など、高い技術力あってこそのエピソードがいっぱい。お楽しみに♪

さくらインカット

スターインカット

クローバーインカット