ブリヂストンのスポーツツーリングタイヤ、T32が発売されてからまる4年。2月1日より後継モデル・T33が発売されました。もともと評価の高いT32からさらにその性能を磨き上げたとのことですが、どれだけ進化したのでしょうか?
千葉県・袖ヶ浦サーキットで開催された試乗会にて早速レビューします!
ブリヂストンの新型タイヤ T33とは?
ブリヂストンのツーリングタイヤと言えば、前作T32含めて以下の特徴がありました。
・雨に強い(ウェット性能が高い)
・スポーティ(軽快)なハンドリング
・GTスペックという別仕様があり重量車にも対応する
全体的には、「ツーリングタイヤでも接地感がしっかりあって、タイヤに裏切られる気がしない」安心してバイクに乗れるタイヤ、という印象でした。
そこを引き継いだ上で下記3つの特徴を新作タイヤT33は兼ね備えています。
【大幅な摩耗ライフの向上】
T33は前モデルT32と比べて、摩耗ライフがなんと最大47%、向上しています!
これは、新開発の耐摩耗性ポリマーをリアタイヤのセンター部分に採用し、ゴムのポリマー切断を抑えることで実現しました。
タイヤの摩耗ライフが大幅に伸びたことで、毎週末ツーリングに出かける方・高速道路を利用して長距離を走る方におすすめの一本に仕上がっています。
【安心感のあるハンドリング】
新設計のトレッドパターンと構造の最適化により、穏やかで安定したハンドリング性能を提供します。
特にコーナリング時に操舵角が小さく済む(T32比で約10%少ない)ので、ウェット路面でもフロントタイヤに不安を抱くことなく安心して乗車出来る設計になっています。
【ウェット性能とドライ性能のバランス】
T32で高く評価されていたウェット性能を維持しつつ、ドライ路面でのグリップ力や安定性をさらに向上させています。
T32にあった「パルスグルーブ」(排水性を高める技術)は採用されていないものの、新パターン設計で溝の配置や剛性を調整し、ロングライフと性能の両立を図っています。
【GT仕様の廃止】
T32では重量車向けに「GT仕様」が別仕様としてラインナップされていましたが、T33ではワンスペックで軽量バイクから重量車まで対応出来ます。
これにより、タイヤを選ぶ際の煩雑さが解消されています。
新型タイヤ T33のタイヤサイズまとめ
2025年発売サイズ:はフロント4サイズ、リア6サイズ(一部は4月発売予定)の合計10サイズです。2026年以降でさらに4サイズが追加予定となっています。
ブリヂストンT33を試乗したレビュー
試乗したのは2月27日、場所は千葉県にある袖ヶ浦サーキットです。幸運にもこの日は天候に恵まれ雲一つない青空が広がっていました。最高気温も18℃と3月下旬並みの暖かさ。タイヤのテストにはもってこいの状況でした。
・場所:袖ヶ浦サーキット 本コース
・時間:正午付近
・試乗車両:HONDA CBR400RR
・空気圧:車両メーカー指定値
走行前にブリヂストンのサービスの方に事前説明を受けました。
タイヤ自体は重量車と相性が良いこともあり、比較的軽量なCBR400RR×高速域(サーキット走行)だと、多少ハンドリングが重く感じる可能性があるとのことでした。また一方で長距離を走行しても疲れにくいタイヤ特性とのことでしたので、しなやかな、ショックを吸収してくれるかのようなタイヤイメージを抱いて、試乗を開始しました。
暖かい日だった、ということもありますが、初めて乗る車両×初めて走るコース×初めてのタイヤと、初めてづくしにも関わらず、タイヤに不安感が「全く」ありませんでした。
「どんなタイヤなんだろう?」「タイヤが暖まったのかな?」という意識すら1-2周した後には消えていました。「タイヤの印象がない」というよりは、「クセが全くない」ことで、タイヤへ自分の集中力を割く必要がない、という印象です。
事前説明で受けていたハンドリングの重さも気になりません。むしろ車体が傾く(バンクする)スピードや手ごたえも常に一定で、全て「必要とされる分だけ」タイヤが応えてくれていました。
袖ヶ浦サーキットの路面はとても綺麗なのですが、シケインになっている部分で、路面の継ぎ目に凹凸があったので、そこをあえて沿うように走行してみました。けれどもとくにハンドリングが乱れることもなく、軽い手ごたえと共にタイヤが上手くいなしてくれていました。タイヤ自体の動きの良さもありますが、タイヤに仕事を任せておけるという「安心感」こそが、「疲れないタイヤ」という理解につながっていることを実感しました。
また走行を終えたあとのタイヤを見てもサラッとしていて、前評判通りのタイヤ摩耗性の良さが伺えました。
ブリヂストンT33はどんな人におすすめ?
毎週末ガンガンツーリングに行く方、それも比較的長距離を走り続ける「ツワモノ」にこそ、是非おすすめしたいタイヤです。夏の北海道はもちろん、九州・四国一周ツーリングなど、タイヤ摩耗を気にすることなく、かつライダーへの疲労を軽減してくれる最高の一本となるでしょう。
一方でその脅威的なタイヤ摩耗の良さがゆえに、普段あまりバイクに乗らない・ツーリングに出かけても近場&半日のショートツーリングがほとんど、という方には、引き続きツーリングタイヤながらスポーティなハンドリングで定評のあった前作T32か、サーキット走行までこなすうえに、摩耗ライフまで良いS23をおすすめします。
まとめ
T33は「驚きのロングライフに、唸る」をコンセプトに、T32の良さを継承しつ摩耗ライフを大幅に強化したプレミアムスポーツツーリングタイヤです。ツーリングの楽しさを足元から支える設計で、今年のツーリングシーズンに向けて頼もしい一本です!交換を検討中の方は是非お近くのナップス店舗へお立ち寄りください!