冷めても美しい、という言葉が似合う道具がある。
午後の光の中、読書の手を止めてガラスのティーポットを傾ける瞬間。注がれる琥珀色が、
木のテーブルに小さな円を描く。その静けさが、なにより贅沢だと思う。
熱を閉じ込めず、気分まで軽くしてくれる。
「PIUMA(ピウマ)」シリーズは、イタリア・ミラノのブランド Ichendorf Milano(イッケンドルフ ミラノ) の代表作。
デザイナーは建築家 Marco Sironi。
ガラスの厚みや角度まで、建築の理論が感じられる。
削ぎ落とされた直線と、手に伝わる柔らかさ。その共存こそ、このシリーズの魅力だ。
まず「軽さ」に驚いた。
耐熱ガラスなのに、持ったときの印象は“空気”。厚みを抑えた設計で、紅茶も日本茶も、湯気さえも一枚のフィルム越しのように見える。
フィルター・本体・フタがすべてガラス。茶葉がゆっくり開く様子が見える時間が、道具の価値を上げている。
使い勝手もスマート。
注ぎ口は細く、湯のキレが良い。フィルターは取り外しが簡単で、掃除も楽。「見せる収納」にも耐えうる佇まいで、棚の中にしまうより、出しっぱなしのほうが絵になる。
容量は約650ml。二人分のお茶にちょうどいい。
朝は緑茶、午後はローズヒップ、夜はウーロン茶──気分に合わせて中身を変える。冷茶もおいしい。
冷蔵庫で水出しして、夜にグラスへそのまま注げば“整う一杯”。
3点セットの良さは、フィルターも同素材のガラスで視界を遮らないこと。
抽出の進み具合や“ジャンピング”がきちんと見えるから、濃さのコントロールが上手くなる。
冷蔵庫での水出しにも向いている(氷を入れても色が美しい)。
素材はボロシリケイトガラス(耐熱ガラス)。
軽量でありながら丈夫。直火にはかけられないが、電子レンジ・食洗機OK(低温設定推奨)。
「扱いやすさ」と「見た目の美しさ」が両立している、珍しいティーポットです。このティーポットもまた、構造と用途が正直に結びついている。そういう道具は、流行ではなく“定番”として残っていくんですよね。