意外と知らない、カフェインの秘密
夕べはちょっと寝不足だったから、今朝は頭をシャキッとさせたいな…
そんな時、眠気覚ましに皆さんが飲むのは、コーヒー、緑茶や紅茶？それともカフェイン入りの栄養ドリンクでしょうか？カフェイン入りの飲料＝眠気を覚ましてくれる、というイメージがありますが、「そもそもカフェインって何？」と聞かれたら、意外と知らないことが多いかもしれません。
今回はそんなカフェインや、カフェイン含有量にまつわる用語について、解説していきます。
そもそもカフェインとは
カフェインは、植物に含まれている天然成分で、「アルカロイド」という苦味成分の一種です。緑茶や紅茶にも含まれ、その苦味のもとでもありますが、コーヒーから発見・抽出された成分であるため、コーヒーを意味するドイツ語「Kaffe」にちなんで命名されました。
カフェインの眠気覚ましは、カフェインのもつ、中枢神経刺激作用によるものです。
ヒトの体内には、鎮静作用をもつアデノシンという物質があるのですが、カフェインはこのアデノシンとよく似た構造をもっています。そのため、アデノシンが作用を発揮するための部位にカフェインが結合してしまうことで、アデノシンの働きが阻害され、神経が刺激されます。
これによって、一時的な覚醒作用や集中力向上、疲労感の軽減などを感じられるのです。
一方で過剰に摂取してしまうと、めまい・心拍数の増加・興奮・不安・震え・不眠が起こります。消化器管が刺激されることで、下痢や吐き気、嘔吐してしまうことまであります。
また、一部の心疾患治療薬をはじめ、併用禁忌な医薬品もあるため、注意が必要です。
こうしたカフェインの過剰摂取による健康への悪影響の心配や、健康志向の高まりからも注目されているのが、「カフェインレス」「デカフェ」「ノンカフェイン」飲料です。
『カフェインなし』表記の違いについて
「カフェインレス」「デカフェ」「ノンカフェイン」のよく似て紛らわしいような三つの言葉ですが、厳密に言うと、意味が異なります。
カフェインレス
「カフェインが少ない」という意味で、通常のコーヒーやお茶などから、カフェインを除去した製品のことを指します。カフェインを90％以上除去したものを、カフェインレスと表示することができます。
デカフェ
英語の『decaffeinated』の略語で、「カフェイン抜きの」という意味があります。カフェインがある飲料からカフェインを除去したもので、ものによっては0.2％程度のカフェインが、ごくわずかに含まれている場合もあります。
ノンカフェイン
カフェインをもともと一切含まない、カフェイン0％のものを指します。カモミールやペパーミントなどのハーブティーや、麦茶やコーン茶といった穀物茶、ルイボスティーなどもノンカフェイン飲料に含まれます。
カフェインの取り除き方
ちなみにこのカフェイン、どうやって取り除いているのか、気になるところではないでしょうか。
以前は有機溶媒（カフェインを溶かす性質のある薬剤）を使った抽出法がありましたが、安全性の観点から日本ではすでに禁止されており、現在では『超臨界液体二酸化炭素抽出法』が一般的です。
二酸化炭素というと、大気中の気体を思い浮かべる方が多いと思いますが、この方法では、“液体と気体の中間のような性質を持つ状態”（＝流体）にして使います。この流体は、カフェインを溶かしやすい性質があり、コーヒー豆や茶葉の風味をあまり損なわずにカフェインを抽出でき、より安心して使える方法のひとつとされています。
最後に
健康な成人の場合、1日のカフェイン摂取量は400mg程度が目安とされています。これはコーヒーに換算するとマグカップ約3杯分、紅茶の場合はティーカップ約8杯分に相当するといわれています。
ただし、妊娠中や授乳中の女性は、胎児や乳児への影響を考慮し、200mg程度に抑えることが推奨されています。そうした方々に加え、カフェインへの感受性が高い子供や、大人でも敏感な方は、普段からカフェインの摂取量に注意が必要となります。
カフェインが含まれる清涼飲料水のコーラの代わりにクラフトコーラを選んだり、カフェインを取り除いた製品を積極的に利用してみたり、飲料に含まれるカフェイン量を調べてみたりして、楽しいティータイムを過ごしていきたいものですね。
むすたーはむ
ナチュラルフードコーディネーター×薬剤師
薬剤師として病院や薬局勤務後、出産を機に主婦へ。
子どもの食物アレルギーをきっかけに、グルテンフリーの米粉パン作りやヘルシーな植物性素材のレシピに興味をもち、ナチュラルフードコーディネーターの資格を取得。
現在は4人育児のかたわら、アレルギー対応や、プラントベースのレシピ発信を続けています。
