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酒なのに熟成肉?寺田本家『発芽玄米酒むすひ』開栓の激闘と"未知"の実食レポート
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酒なのに熟成肉?寺田本家『発芽玄米酒むすひ』開栓の激闘と"未知"の実食レポート
酒なのに熟成肉?寺田本家『発芽玄米酒むすひ』開栓の激闘と"未知"の実食レポート
公開日:2025/12/08 更新日:2026/04/14
【第0章:警告】
スタッフライター:こじ ~これは、あなたが知る「お酒」のレビューではない~ 最初に、はっきりと申しあげておきたいことがあります。 それは、当記事が「普通の日本酒(清酒)の記事ではない」ということです。 これからご紹介するのは、千葉県香取郡という歴史の深い土地に生きる酒蔵―― 寺田本家の『発芽玄米酒 むすひ』です。
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『むすひ』は、日本の米が原料の醸造酒でありながら、その実態は一般的な「お酒」の枠には全く収まりきりません。 当記事には、「今宵の晩酌のお供に」「フルーティーで華やかな香り」「サラリとした淡麗の喉越し」といった耳慣れた表現は登場しません。 「むすひ」を飲むということは、「未知との遭遇」と同義であるといっても過言ではありません。 ここに瓶詰めされているのは、「制御不能なほどのエネルギーをもった爆発的な生命活動」そのものです。 なぜ、この酒は「まずい」という噂と同時に、「一番うまい」という熱烈なファンも生み出し続けるのか? 筆者が直面した、開栓までの10分を超える「闘い」―― その後に訪れた、「酒なのに発酵した熟成肉」という不可解な体験―― その全貌を、脚色無しで「証言」します。
【第1章:遭遇と闘い】
~「異様なタグ」から、すべてが始まった~ 手元に届いた、『むすひ』のボトル―― まず、開栓する前の段階からして、何やら異様です。
ボトルの首には、「開栓注意・要冷蔵・横倒厳禁」のタグ―― さらには、キャップにも重ねて「開栓注意・横倒厳禁」との注意喚起―― まるで「さわるな危険」とでもいわんばかりの、異様な注意喚起……開栓前から、ただならぬ緊張感が漂ってきます。 ガラス瓶の中身を透かして見ると、さらにその異様さが際立ちます。 上から見ると、うっすら黄金色みたいな半透明の液体ですが…… 底の方には、冬至の季節の深い雪のように、真っ白く分厚い沈殿物が堆積しています。
もし瓶にラベルが貼られていなければ、これを「米から醸造された酒」と認識できる人はいないかもしれません。 まるで、何かの実験室にある培養液か、あるいは巨大なボトルに入った「飲むヨーグルト」のような出で立ちです。 そこには静かに、しかし確実に、瓶の中で「何か」が生きている気配がします。
~スプラッシュの洗礼~ 「ま、そうは言っても普通の日本酒とベースは同じでしょ」 心のどこかでそう高をくくっていた私は、警告タグの注意書きにとりあえず従いつつ、キッチンシンクでものすごく慎重に、最小限の力で、ほんのかすかに栓を回し…… ブシャッ!!! プシュッ、という生易しい擬音ではありません。 キャップをミリ単位で回したその瞬間、黄金色の中身が即座に反応し、強烈な白い飛沫をあげました。 それは、喩えるならば「ペットボトルロケット」―― 瓶の中で行き場を失っていたエネルギーが、出口を見つけた瞬間に、爆ぜたのです。 私は慌ててキャップを締めなおしたものの、手には溢れ出した泡がべっとりと付着してしまいました。 ――その泡だけで、『むすひ』の独特な世界観の一角が伝わってきました。 漂ってきたのは、ものすごく濃厚な生命元素のような、非常に独特な香り……原初のカオスのぬか床? 形容は困難ですが、とにかく一般的な日本酒の、米由来の香りとは全く別物でした。 数秒前に抱いていた日本酒のようなイメージは、泡とともに一瞬で爆ぜました。
~終わらない「バルブ調整」~ そこからは、酒の開栓というよりも、「高圧ガスボンベのバルブ調整」と呼ぶべき作業が始まりました。 1.キャップをミリ単位で緩める。 2.「ジュワワワッ!」と液面が噴水のように上昇してくる。 3.暴発する寸前で、慌ててキャップを締める。 4.液面が落ち着くのを待つ。 5.1に戻る この、息の詰まるような再帰的工程をひたすらに繰り返します。 少しでも気を抜いてキャップを緩めすぎれば、瓶の半分以上が泡で爆ぜるでしょう。 瓶の中の「彼ら/彼女ら」は、それほどまでに外の世界へと出たがっているようです。 5分経ったでしょうか……いや、10分かもしれません。 何度ガスを抜いても、次から次へととめどなく爆発的な泡が湧き上がってきます。 「いつまで続くんだ……」 次第に時間の感覚すら曖昧になってくる、瓶との根比べ―― これほどまでに飲む人間を「試す」酒が、かつてあったでしょうか。
~そして現れた「乳酸菌のエリクシール」~ 永遠にも思える格闘の末、ようやくガスの圧力が落ち着き、キャップを完全に外すことができました。 そうして現れた姿は、「洗練された黄白色の乳酸菌ヨーグルト飲料」のような出で立ちでした。 底に積もっていた白い沈殿物が全体に混ざり、ようやく商品ページで見かけた色合いになりました。 グラスに注いでみると―― その液体は、私の知る「米でできた日本の酒」という固定概念をあざ笑うかのように振る舞っていました。 注いだそばから、シュワシュワ、パチパチと弾け続ける、泡……見た目は、にごりのあるスパークリングワインか、あるいは炭酸の強い生ビールのようでもあります。 しかし、立ち昇る香りを嗅いだ瞬間、脳の処理が一時停止しました。 フルーティー? 華やか? いいえ、そんな生易しい形容詞はここには存在しません。 そこにあるのは、甘酒のようなふくよかな甘さの中に混じる…… 「発酵し尽くした肉」のような、野性味あふれる香り。 植物であるはずの米から、なぜこれほどまでに動物的な、血の通ったような匂いがするのか―― まさに、摩訶不思議としか言いようがありません。 グラスの中身は、液体というよりも「生命活動のスープ」と化しています。
【第2章:驚愕の“実食”】
~それは「酒」ではなく、「肉を食べる」感覚~ 私はアルコールを受け付けない体質のため、ここからは同席していたY氏にテイスティング……否、「実食」を委ねることにしました。 Y氏は、古今東西の美酒美食を経験してきた、体感のスペシャリストです。 そのY氏が、グラスを口に運んだ瞬間――動きを止めました。 そして、やや困惑が勝った驚きのような表情で、重々しく口を開きました。 「……これは、好き嫌いがハッキリと別れるね」 Y氏の証言を借りるなら、そのファーストインパクトはとにかく「未知の謎」だったようです。 Y氏も、あの“開栓の通過儀礼”を経る前の私と同じように、「米と水でできた日本酒」という先入観が強かったそうです。 それゆえ、『むすひ』のそのあまりにも独特すぎる嗅覚と味覚と触覚に、半ば躊躇いを覚えていたと述懐していました。 「ドロッとした、熟成し尽くした濃厚なハムの肉汁のような……活性化した生命そのもののような……」 一般的な日本酒(清酒)が「水のようにサラリとした呑みやすい喉越し」だとするならば、『むすひ』はその真逆。 玄米と水、 原材料はたったそれだけのはずなのに、なぜ「肉」なのか―― そんなY氏も、おそるおそる二口、三口と飲み進めるうちに…… その表情が「困惑」から「気づき」へと変わっていきました。 そして、信じがたい言葉を口にしたのです。 「これ、飲み物じゃなくて、『食べてる』感じだ」 グラスが空になる頃、すっかり『むすひ』に馴染んだY氏は、ついにこう断言しました。 「これは、おつまみも何も要らない。これだけでうまい!」 通常、酒は食事を引き立てるカップリングの名脇役です。 しかし『むすひ』は、それ自体が「メインディッシュ」として完結してしまっているのです。 ……当初の困惑からは想像もつかず、「おかわり」まで求めたY氏。 そこから、さらに摩訶不思議な言葉が湧き出てきました。 「……お腹が空いてきた」
つい先ほど、おつまみも何も要らないと述べたはずなのに…… Y氏曰く、これはおつまみが欲しいという意味ではなく、何故か空腹感が湧いてきたそうです。 それはまるで、身体中の細胞が『むすひ』の生命力に歓喜し、活性化したことにより、根源的な「渇望」が吹き出てきたかのようです。 ……以下は“実食”を終えたY氏からの、締めの感想です。 「メッチャうまい!」 「これは『むすひ』でしか味わえない、唯一無二」 『むすひ』は単に「良い酒/悪い酒」「甘口/辛口」という二元論では語れません。 Y氏はこの時、アルコールを楽しんだのではなく、「命そのもの」を摂取してしまったのかもしれません。 米から醸造したはずの液体から、なぜ「肉」の印象が浮かび、なぜこれほどまでに細胞が騒ぐのか? ……その謎の正体は、寺田本家が頑なに守り続ける、ある「常識破りの製法」に隠されていました。
⇒後編へ続く
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