赤ちゃんの口周りから顔全体に広がる湿疹_汗疹あせも
公開日:2025/06/18 更新日:2025/07/16赤ちゃんの口周りに赤みや湿疹が見られ、保湿をしているのに症状が改善しない。それどころか、顎、頬、耳、首元まで広がっていくことに不安を覚え、相談される方が増えています。なかには、アトピー性皮膚炎ではないかと不安を感じる方もいらっしゃいます。
赤ちゃんの肌トラブルについてオンライン相談を受けることが増えました。肌の状態を見れば、大体のことがわかりますが、オンラインでは、そうは行きません。相談者のなかには、写真を添付してくださる方もいます。これは大変役立ちますが、十分ではありません。赤ちゃんの肌に触れてもらい、その感触を伝えてもらいます。乳児湿疹の範囲であれば、大体見当がつきます。
見当をつけたところで、よだれはでますか? 量は? スタイや下着がよだれで濡れていませんか? 赤ちゃんは、指や拳をしゃぶっていませんか? などと質問します。深堀するなかで、相談者も原因に気づくことができます。そう、「よだれかぶれ」だった。
ここでは、よだれかぶれとその対策について紹介したいと思います。
よだれとは、飲み込むことができず口の外にあふれ出した唾液です。よだれ(水分、カルシウム・リン・ナトリウム・消化酵素を含む)は、口の中をきれいにし、消化を助けるなどの大切な役割があります。よだれかぶれとは、よだれが皮膚に長時間付着し刺激を受けたことで発症した炎症のことを言います。
症状は、痒み、赤み、腫れ、ブツブツ、ザラザラ、カサカサ、ジュクジュク、乾燥などが見られます。原因は、よだれの成分や食べかす(母乳・ミルク・離乳食)が、肌に長時間付着したことによる刺激です。
赤ちゃんの肌は薄いため、よだれをふき取るときに強い刺激(ゴシゴシ)を加えると、傷つき症状が悪化します。よだれが肌に付着したまま放置されると、かぶれの原因になり、早めに取り除く必要があります。
時期は、生後3か月から2歳ころまで、繰り返し見られます。ピークは乳歯が生え始める生後6か月頃で、その後減少していきます。唾液の量は、個人差があります。
症状が出やすい部位は、口の周りや顎ですが、よだれが首や耳の方まで流れて、肌が荒れていることがあります。指や拳をしゃぶる癖がある赤ちゃんには、手や指にも肌荒れがみられます。よだれがついた手で顔をこすれば、その部分にもかぶれが広がります。
「1日何回、拭いてあげたら良いですか?」と聞かれます。
「よだれが出ているとき、授乳や離乳食の前後など、赤ちゃんによって異なりますが、1日10~20回になるかもしれません」と回答すると、「そんなに」と絶句されます。「1日数回でもいいですよ」と言ってあげたいのですが、よだれや汚れがついたまま放置すると、かぶれてしまうので、頻回にケアしてあげましょうと言うしかありません。
「慣れてしまえば、よだれを拭くことは、それほど負担ではありませんよ。」「赤ちゃんが、よだれかぶれで痒くなって、顔をこすりつけたり、ぐずったりするよりは、その都度、拭いて保湿する方が楽ですよ」と伝え、励まします。
よだれかぶれや対策は、
1.清潔 2.保湿・保護 3.スタイや衣類の交換です。
他のスキンケアと基本的に変わりません。
1.清潔にする
個人差がありますが、1日10~20回、洗浄(指に水をつけて洗う)するか濡れたタオルで拭いてください。外出時には、ビニールに水で濡らした小さめの柔らかいタオルを数枚入れておくと便利です。乾いたタオルで拭くと、炎症で荒れた肌をさらに傷つける可能性があります。必ず濡らしたタオルで拭くようにしましょう。そして、ゴシゴシとこすらずに、軽く押さえるようにして拭いてください。汚れが取れにくいときは、拭かずに洗うようにしましょう。肌ストレスをできるだけ与えないようにします。
2.保湿・保護する
よだれを拭いた後は、ベビー用のオイルやワセリンなど保護作用のある保湿剤をベタベタと多めに塗ってください。口周りや顔だけでなく、手指の保湿も忘れないようにしましょう。赤ちゃんが手についた保湿剤を家具などに塗りつけてしまうとか、保湿剤が誤って口に入ったらどうするのかなどと心配される方もいます。気になる場合には、手指につける保湿剤は、ウォーターローションのタイプを使うとよいかもしれません。もし、保湿剤が口に入っても問題ありません。薄く塗っても肌を保護することはできません。さらに、授乳や離乳食の前にも口の周りを清潔にした後、オイルやワセリンを塗ってあげると、よだれや汚れをはじき、肌への刺激を減らすことができます。外出時には、保湿剤をバックの中に入れておくと便利です。
3.スタイはこまめに交換する
よだれが多い赤ちゃんでは、スタイ(よだれかけ)を使ってください。スタイは化学繊維(かゆみや皮膚トラブルの原因になる)を避け、綿を選びましょう。よだれで濡れたら、肌を刺激しないようにこまめに交換しましょう。衣類が濡れた場合も、新しいものに交換し、よだれの成分が肌に長時間触れないようにしましょう。
新生児や乳児期からのスキンケアが、湿疹や食物アレルギーを予防する可能性があるという研究報告が出ています。家庭の子どもの寝具から、100%鶏卵のアレルゲンが検出されているそうです。私たちの生活の場、空気中には、見えないけれど、食べ物や身の回りのものから遊離した分子が無数に漂っていることになります。もし、赤ちゃんの肌が乾燥し、バリア機能が低下していたら、荒れた肌から食物アレルゲンが侵入し、アレルギー体質を引き起こしているかもしれません。
離乳食前であっても肌荒れがあると、そこから空気中に浮遊している目に見えない微量成分(卵、ミルク、小麦など)が侵入し、アレルギーを引き起こすIgE抗体をつくります。そして、その食べ物を食べたあと、アレルギー反応が起きるという説です。空気中の物質だけでなく、手や衣類に付着した食物成分もアレルギー発症に関与する可能性がありますので、赤ちゃんの世話をするママの手も、清潔と保湿を心がけてください。
国内では、2023年4月に国立成育医療センター アレルギーセンターから、「食物アレルギーの発症リスクが高い、乳児期早期発症のアトピー性皮膚炎の赤ちゃんに対する早期の積極的治療が食物アレルギーの発症を予防することを世界で初めて実証しました。」という
プレスリリースが出ました。気になる方は検索してみてください。
近年では、湿疹や食物アレルギーを予防するために、新聞・雑誌・テレビ・SNSなどでもスキンケアの重要性が言われるようになりました。よだれかぶれなどの乳児湿疹を防ぐことで、肌のバリア機能が保たれ、食物アレルギーの予防に繋げることができると考えられています。
\まとめ/
よだれかぶれは、唾液を飲み込むことができるようになれば、自然に落ち着いていきます。しかし乳児湿疹なのか、アトピー性皮膚炎なのかを見分けることは難しく、経過を見なければなりません。
そのため、相談者のよだれかぶれもアトピー性皮膚炎ではないと断定することもできません。悩むよりも基本的なスキンケアを習慣化することをお勧めします。
基本的なスキンケアを続けることで、乳児湿疹などの肌トラブルを減らし、食物アレルギーを予防できるかもしれません。肌(皮膚)は体のなかで最も大きな臓器、肌の健康を守ることは、赤ちゃんだけでなく、家族にとっても大切なことです。この機会に、家族でスキンケアに取り組みましょう。